どうも、シーザーです。
今回はデジタルユースワーク調査レポートの第2回目です。
みなさん、第1回目の記事はお読みいただけたでしょうか?
もし、「まだ見てないよ」という方は、こちらを先に読んでいただくと、デジタルユースワークを踏まえたうえで、今回の内容を理解できます。
今回の記事では、ヨーロッパ諸国はDYWに対してどのような働きかけを行っている/行う予定なのか、そしてEUの若者たちはどのように具体的にDYWを行っているのかについて、具体的にご紹介していきます。
目次
- 世界各国の動き
- デジタルユースワークへの政府支援
- 具体的な取り組み
1 世界各国の動き
まず初めに、ヨーロッパ各国はデジタルリテラシーが市民権|人権の擁護と現代生活全般に重要な役割を果たしていると考えています。そして、すべての若者は、将来の仕事や日常生活において技術的なスキルと気鋭に富んだ考え方を必要としています。
ユースワークはこれら、若者の主体的な情報獲得と認識、思考を促進できるとしています。
また、ヨーロッパでは、デジタルメディアやテクノロジー (ビデオストリーミング、メッセージング、ブログ、ゲームなど) に費やす時間が増えていると報告されています。かつてはこれらの傾向が、インターネット中毒としてネガティブに捉えられてきがちでした。
しかしデジタル化が進展した結果、デジタルメディアに費やす時間が生活・就労の全般に及ぶようになったのです。結果、デジタル化の社会の意味付けが変容しました。
若者が学び経験を共有し、意見を交換し、友人と楽しみ、社会に積極的に参加する場を提供することがデジタルメディアによって達成できる、と前向きに考えられるようになったのです。
しかし、「デジタルネイティブ」という用語は「若者がデジタルテクノロジーの使い方を直感的に知っている」という誤解を招いています。実際には、ヨーロッパのかなりの割合の若者が基本的なICTスキルをもっていないことが指摘され始めました(ECDL Foundation 2015)。
さらに、多くの EU 加盟国では、恵まれない背景を持つ若者が学校を卒業したり、彼、もしくは彼女が十分な訓練を受けていない場合には、インターネットやソーシャルメディアへのアクセスで問題を生じやすい、という研究調査結果を明らかとしてきたのです。
そして、多くの若者は、「デジタルメディア=ソーシャルメディア」と認識しているため、デジタルメディアとテクノロジーの潜在的な役割についての彼らの理解を広げる必要があると考えられてきました。
2.デジタル・ユースワークへの支援
それでは、ユースワークを行う若者に対して、政府はどのような支援をすべきなのでしょうか?
まず、前提として、すべてのユース ワーカーは、デジタルユースワークの重要性を理解し若者支援がデジタル化を対象としないといけない、という認識を共通して持つ必要があります。
そのためには、技術開発を取り入れ若者がデジタル技術と社会を積極的に形成するためのスキル、能力、社会的な活動に参加する勇気を身につけられるよう支援する必要があります。
次に、デジタルユースワークの開発は、その質を確保するためにエビデンスに基づくべきだと考えられています。したがって、デジタルユースワークの影響、リーチ、有効性を評価するためのシステムの開発が重要です。
それに加え、ユースワークがデジタル時代の若者のニーズを満たすためには、若者のデジタルの使用と文化に関する継続的な学術研究も必要です。そして、これらの調査は、国内レベルとヨーロッパレベルの両方で行う必要があります。
最期に、デジタル化は世界的な現象です。そのため、国際レベルでのデジタルユースワークと若者のデジタル文化に関する知識交換が不可欠です。また、革新的な取り組みを行うためには、一つの分野に精通した若者が集まったり、ひとつの分野に特化した研究だけではなく、分野横断的な情報交換が重要です。
3. 具体的な取り組み
さて、ではいよいよ、実際のデジタルユースワークの事例を見ていきましょう。
この記事では、たくさんある事例のうち特に面白いとおもった、たオーストリア、ベルギー、チェコの3か国の物を紹介いたします。
「もっとDYWの具体例を知りたい」「活動内容を詳しく知りたい」そんな探求心あふれる方は、ぜひ、元の文献をご覧くださいツ
①WhatsApp ブロードキャスト in オーストリア
東欧のオーストリアでは、〈Rat auf Draht〉と〈WebChecke〉という2つの団体がそれぞれ、若者に人気のSNS「Whatsapp」をつかった、情報発信が行われました。
〈Rat auf Draht〉は、スマートフォンやデジタル関連に限らず、あらゆるトピックに関連した情報をWhatsappで発信し、若者がインターネットを使用する際に自分自身の行動を見直すきっかけをつくっているそうです。また、〈WebChecke〉はデジタルメディアに焦点を当てて、主に詐欺とマルウェアに関する情報を提供しています。
②街頭インタビューストリーミング in ベルギー
四半期に一度、〈Infor Jeunes Couvin〉チームは、若者に直接関連するテーマや、Couvin (ワロン地方の町) の若者に影響を与える地域の問題に関連するテーマを選択し、街頭インタビューとプレゼンを行いました。ユースワーカーは、路上で出会った若者に対して、選択したトピックに関するインタビューをし、議論を展開させます。その様子はすべて撮影し、編集された後、青少年情報センターの YouTubeチャンネルを通じてオンラインで放送されます。
さらに、この活動の様子はFacebook、ウェブサイト、ニュースレターを通じて青少年情報センターによって共有され、地域レベルより広範囲に影響を与えているそうです。
実際のyoutubeチャンネルはコチラ
③芸術活動のオンライン支援 in チェコ
チェコ共和国で活動する〈Face2Art〉では、文化的な芸術活動を行う若者たちに、オンライン上に自身の作品を展示できる「仮想ギャラリー」を提供することで、若者の創作活動を支援しています。オンラインによる支援だけではなく、オフラインでのワークショップや、ミーティングに参加するという、オン/オフバランスの取れた活動となっています。
また、参加している若者たちには、どの分野にも有名なアーティストが後援者として存在し、若者にとっては最高のメンターになっているそうです。
いかがだったでしょうか?
調査レポートはいったん以上になりますが、これからもデジタルユースワークに関する国内外の情報を発信していきます。
DYWの計画や実践に、幅広い立場の方々のお役立てれば幸いです。
マタネ!(・ω・)ノシ