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(調査レポート)不登校から考えるー子ども-若者を取り巻く環境

目次

Wisa(ウィーサ)は、若者が主体となって国際的な支援を行うことで自分達自身の成長と主体的な課題解決に取り組んできました。

しかし、そもそも

「子ども-若者を取り巻く環境ってどうなっているんだろう」

「どうして思春期や若者世代を応援しないといけないといけないのか」

といった質問をいただくことも少なくありません。

今回は、日本社会で生活している子ども・若者世代がどのような状況にあるのか、何に困っているのかということについて調査しましたのでご紹介していきたいと思います。

子ども_学生

目次

  1. 不登校の年推移とその原因について
  2. 不登校になるきっかけ
  3. 「教育虐待」が及ぼす影響
  4. 生活リズムとデジタル・ウェルビーイング

■不登校の年推移とその原因について

日本では、道路も街並みも整備されて公立・私立の学校も十分、地域に普及しています。一方、ラオスやバングラデシュでは学校が整備されておらず、教育を受けたい、と思っても十分にその機会が与えられていません。

しかし、不思議なことに日本では環境は整備されて恵まれているはずなのに、その学校に通学しない子ども達(不登校)が年々、増加しています。

不登校推移
引用参照ー令和3年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について

文部科学省が2022年度に発表した「令和3年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」によれば、コロナ禍後の2021年度における小中学生の不登校数は24万4940人。前年度から4万8813人(24・9%)の大幅増となりました。20万人を超えたのは初めて。内訳をみると、小学生の不登校は8万1498人で前年度比1万8148人増、中学生の不登校は16万3442人で前年度比3万665人増、ともに過去最多。児童生徒1000人あたりの不登校数は小学校で13人、中学校で50人です。

不登校生徒数(2021年度)

学校

生徒全体の数不登校人数/割合数

前年度

小学校

6,262,256人81,498128.65%

1.30%

中学校

3,266,896人

163,442

123.10%

5.00%

高校3,014,194人50,985

118.43%

1.69%

人格形成においてもっとも重要な思春期を迎える中学生の不登校割合が5%と顕著に増加しています。またこれまで比較的、不登校が少なとされてきた小学生の不登校は2020年度の118%増に続き、2021年度も昨対比128%と急増しました。

日本の小学校は年齢別学級で6年間入れ替わりがないという制度的な特徴も起因していると考えられます。この6年間は子ども達同士の関係性が硬直しがちのため、いじめや孤立化が問題化する場合、苦痛が長引きます。そんな学校の居心地が悪い一方で、自宅では自由に自分らしく過ごせると、学校にいくことが楽しいと感じられずに苦痛となっていくことが多くなります。

2018-2021年度の比較をグラフ化してみましょう。(通信制高校ナビ(2022)を参照に独自作成)

不登校の統計

不登校については、特に中学生の時期に増加しています。

一方、高校では不登校になった生徒は中途退学や留年するケースが増えるせいか、学年が進むにつれて減少していきます。思春期となる中学生は、小学生時代までの基礎人格形成を土台に多感となり、悩みも深まっていきます。また高校への進学・中退・退学に大きな影響を、心理的にも学業的にも大きな及ぼす基礎能力の形成期が中学生の時代です。

この時期の不登校は、子ども達の様々な発達に大きな影響を与えることとなります。

■不登校になるきっかけ

こういった不登校になったきっかけを見ていきましょう。

きっかけとして「学校に係る状況」、「家庭に係る状況」、「本人に係る状況」の3つにわけて考えられてきました。

1つ目に、学校に係る状況として特に思い浮かぶのはいじめですが、意外なことに小中高も割合的には0.3%のみとなっています。しかし、いじめを除く友人関係をめぐる問題がきっかけだ、と答えた生徒の割合は小学校では6.1%、中学校では11.5%、高校では9.1%となっています。

中学生ではこれまで出会ったことがない複数の小学校の生徒が集まり、新たな人間関係が生まれる場です。新しい環境への適応と同時に学びのカリキュラムもいっきに複雑化します。 後述しますが、インタネーットの普及によって友達同士で共有する趣味や話題なども細分化されているため、話題も分かち合えない友達創りに困難が想定されます。

そして高校でこの次に多かったきっかけが「入学、転編入学、進級時の不適応」の9.4%です。日本の中学校までは義務教育で、成績に関わらず自動的に進級していきます。一方で、高校は試験や態度によって留年があります。学業不振になると、中退への動機が生まれていくこともあります。

■「教育虐待」が及ぼす影響

2つ目に、家庭に係る状況として特に多いのが親子の関わり方です。 小学校ではなんと13.2%が、この親子関係をきっかけに不登校が生じていますが、特に高学年の思春期が多いと言われています。 小学校高学年は学習内容が難化し、中学受験をする友達も増えてきます。この調査結果に関連して、最近、「教育虐待」という言葉が着目されています。親が学歴を気にするあまり、子どもに勉強を強要し過ぎて心理的に圧力を加えすぎたり、極端に過密な学習スケジュールを強要することです。

教育虐待は、さまざまな子どもの成長の機会を奪ってしまいます。たとえば、交友関係への制限、テレビ・ゲームなどの娯楽禁止、外出の禁止などを伴う教育方針は、調和のある人格形成を歪めてしまいます。 このような教育方針は、これまでの日本で批判的に検討されたことさえありませんでした。それは「教育熱心」といった表現されたり、受験や優秀校のブランドを親が気にするあまり、子どもは純粋に「学歴」を信仰するようになります。そして実際に学歴が将来の職業と安定した給与に結びつく社会体制となっているため、誰もそれを否定できなくなっていきました。学歴による評価が支配的となると、進学塾などで睡眠時間が少なくなるまで勉強をする子どもも増えます。子ども自身も親のそのような価値観に批判できる知性を喪失してしまい、反抗をすることさえもできなくなってしまいます。2012年WAM(福祉医療機構)助成のソーシャルファーム事業の際のアンケート調査(当法人実施)では、ひきこもり状態の10-30代、104名を対象にしたアンケートで、「学歴や職業で人を評価する」という特性を親が有していると認識している当事者の若者が87名(83%)に及びました。このように、親による価値観の押しつけが不登校・ひきこもりの子どもを産む家庭に多くみられます。

■生活リズムとデジタル・ウェルビーイング

本人に係る状況として挙げられるのは「生活リズムの乱れ」、「あそび」、「非行と無気力」、「不安」といった言葉です。いずれの理由も割合は二桁を超えていますが、無気力、不安に関しては小中学生が約50%、高校生の約40%が抱いているようです。結局、子ども達の半数近くが「不安」で「無気力」になってきているのが日本の教育の実情のようです。

特に生活リズムの乱れ、無気力、不安に関しては自律神経失調症も要因と指摘されています。自律神経の乱れといえばストレス社会を生きる大人の症状だと思われがちでしたが最近では子どもにも起こっているのです。

自律神経とは自分の意識とは無関係に体の機能を調整する神経のことです。自動車で例えると、交感神経をアクセル、副交感神経をブレーキと言われたりします。2つのバランスを取り、調和のある健康を保つことが重要です。

子どもの自律神経を乱す要因は大きく2つあると言われています。一つは、生活リズムの乱れです。今まで家族でテレビを見ていた団らんのシーンが、スマートフォンの普及で一変していきました。SNSが活発になり、家族がバラバラで見たいコンテンツを一人で見て、連絡を取りたい人と接続できるようになりました。また一人部屋が普及すると子どもも自分の部屋がもて、スマートフォンの使用について自律した自己管理が必要となりました。しかし学校では、そのような身近で大切なことを教えてくれません。インターネット中毒もそうですが生活リズムの乱れは、情報技術の発展から影響を受けています。

■さいごに

今回の調査では、不登校の問題をきっかけに、教育制度や家庭での教育、情報化の発展など複雑に絡まって若者の問題を生み出していることがわかりました。 次回は、特に働き始めてからの若者が直面している問題についてご報告していく予定です。

■参考資料

通信制高校ナビ(2022)

https://www.tsuushinsei-navi.com/futoukou/toukei.php

イマドキの子どもを悩ます「自律神経の乱れ」の問題(2022)

https://www.tsuushinsei-navi.com/futoukou/toukei.php

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