【必見】入学後に「大学を辞めたい」と思ったとき…【調査レポート】

大学辞めたいとき

目次

入学後に「大学を辞めたい」…そんな不安に対処していく方法

大学生活のスタートは、多くの新入生にとって新しい環境への期待と不安が混在する時期です。しかし、入学してみて予想と異なる現実に直面し、大学を辞めたいと感じる学生も少なくありません。

この記事では、そんな状況に直面したときに考えるべき対処法について詳しく解説します。

 

1. 自分の感情を整理しよう

新しい環境に適応する過程で、多くの学生がストレスを感じます。まずは、自分がなぜ大学を辞めたいと感じているのかを具体的に整理しましょう。このとき必ず、日記(ジャーナリング)をつけて、頭の中だけで考えるのではなく文字で書き出してください。

たとえ信頼できる友人や家族に相談をしたい、と思っても、まず最初は自分ひとりでで気持ちを整理することをお勧めします。なぜなら、入学して間がないうちに「辞めたい」と周囲に打ち明けても「まだ始まったばかりだから」「心境が変わるかもしれないから」と辞めないことを勧められるからです。そんなアドバイスを受けると、「やっぱり気持ちをわかってはもらえない」という寂しい気分になるだけだからです。 「辞めるべきではない」ということを、あなたはすでに自分で知っているはずです。

まずは、誰かに相談する前に自分で「辞めたい」という思いがどうして生じてきているのか、冷静にジャーナリングなどをして自己分析してみてください。

NPO法人Wisaでは、大学初年次の学生の相談を15年に及んで取り組み、313名(2013-2023年)の相談(初回インテイクの主訴)の統計をまとめてみました。よくある理由には、下記のようなものがあります。

原因 説明
大学-専門とのミスマッチ(37%) 希望していた大学や専門学科が別にあり、そこに入学できなかった思いを引きずっているため現在いる大学の印象がすべてネガティブに受け取られてしまいます。これは心理学では「確証バイアス」(confirmation bias)の一種と認識されています。結果として、色々な問題を敏感に探し感じ始めて、辞めたい理由が増えていきます。また希望していた大学にあらためて入学したい、再受験したいという思いを強めていきます。
社会的適応の失敗(31%) 高校とはまったくことなるシステムと新しい社交環境での大学生孤立感は、重大なストレス源となり得ます。これを教育心理学では、「初年次適応」(first-year adjustment)の問題とされ普遍的にみられる現象です。仲の良かった友人と離れてしまったり、信頼できる人がいないキャンパスライフはしんどくなって当然であることをまずは自覚しましょう。特にキャンパスでグループに溶け込むことができない場合、孤独や排除感を体験することが多くあります。
一人暮らしへの不安-経済的負担(10%) 大学への入学をきっかけに一人暮らしをする方も多いと思います。これまで親元で生活してきた環境とはまったく異なり、大きな不安と孤独のなかで新生活をスタートします。またその際に、あらためて生活に関するコスト-経済的負荷を実感するようにもなります。学費、生活費、教材費など、大学には多くの費用がかかります。経済的な問題は学生にとって大きな負担となり、特に奨学金やローンに依存している場合、金銭的なプレッシャーが学業のストレスに追加されることがあります。
健康問題(1%) 精神的または身体的健康問題も、大学を辞めたくなる重要な理由です。もともと高校までにも人間関係に疲れやすかったり、神経質な性格精神的な問題(うつ病、不安障害など)は学生の学業成績や日常生活に影響を与え、大学生活を継続することが困難になることがあります。
学問への興味喪失(1%) 選択した専攻や分野への興味が薄れることもあります。期待していた内容と異なる、または時間が経つにつれて他の分野への関心が高まることが、学生が自分の学問的な道に再考を迫られる原因となることがあります。
その他、個人的な理由(20%) 家族の問題、恋愛関係、または重要な個人的な変化など、私生活の問題も大学を辞める理由となることがあります。これらの問題は、学生の集中力やモチベーションに影響を与え、学業への継続的なコミットメントを困難にすることがあります。

 

以上のように希望していた大学に入学する、不本意入学をきっかけとした大学を辞めたい、という悩みが統計的には優位です。

Reasons for First-Year College Students' Desire to Drop Out - Statistics on Initial Intake's Chief Complaints 2013-2023 (Wisa, 2024)
Reasons for First-Year College Students’ Desire to Drop Out – Statistics on Initial Intake’s Chief Complaints 2013-2023 (Wisa, 2024)

2. 学内のサポートシステムを利用する

自分自身の感情の整理ができれば、次に誰かに相談をしてみましょう。 しかし、周囲の友達や家族にはすぐに相談しにくいのが普通です。

多くの大学には、学生の心理的な不安や学業の悩みに対応するためのカウンセリングサービスが設置されています。これらのサービスは匿名で利用できる場合も多く、専門のカウンセラーがあなたの悩みに対して適切なアドバイスを提供してくれます。

また、課外活動・ボランティアやアルバイトをしていれば、家族や大学の友達とは異なるポジションの関係性にある人から有益なアドバイスをもらえる可能性もあります。 いずれにしても、自分の感情を自分である程度、整理できれば誰かに相談をしてみることは非常に重要です。自分が感じ・考えていること以外の視点での意見をもらうことで、この悩みをきっかけに自分自身を成長させていくこともできます。

3. 授業(課)外活動に参加してみる

大学は学問を学ぶ場所であると同時に、多様な人々と交流し新しいことに挑戦する場でもあります。クラブ活動やサークル、ボランティア活動に参加することで、異なる価値観を持つ友人を作ることができ、新しい見方や意見と出会えます。特に孤立して不安な状況にあるときには、一緒に笑顔になれる友達を創ることでいっきに悩みが解決する場合も多くあります。また課外活動として、大学内外の団体に所属して何かに取り組むことで、悩み以上に夢中になれる何かをもつことで不安でいっぱいの意識をリフレッシュすることもできます。 大学在学中に起業やスタートアップを目指す学生も増えてきています。

大学を辞めたいと思ったとき

4. 再受験と編入学を選択肢に入れる

自分が選んだ専攻が自分に合わないと感じる場合、学部や専攻を変更することも一つの方法です。多くの大学では、入学後に専攻を変更できるシステムを設けています。学生支援課に相談して、具体的な手続きや可能性について確認しましょう。また、希望していた別の大学にどうしても入学したい場合には、仮面浪人をして再受験する、もしくは3年次に編入学をしてみる、という選択肢もあります。

5. 一時的に休学を検討する

もし大学生活のストレスがあまりにも大きい場合、一時的に休学を考えるのも一つの手段です。休学中にアルバイトをしたり、旅行をしてみたりと、自分自身を見つめ直す時間を持つことができます。休学は決して逃げることではなく、自分にとって最適な選択を再考するための貴重な時間になります。ただ、自分自身の殻に心理的に閉じこもってしまったり、自分の部屋に引きこもって無為な時間を過ごすことは、かえって大きなマイナスになってしまいます。 イメージとしては、3年後の就職面接のときに「休学をして、〇〇に取り組みました」といった明確な目的と取り組みを計画するべきです。特に海外への旅行-インターンなどは有効な選択肢となりうるでしょう。

6. 将来のキャリアについて考えてみる

大学を辞めたいと思った理由が将来の不安から来ている場合、キャリアセンターを訪れてみましょう。専門のスタッフが職業相談を行っており、将来に向けての具体的なアドバイスを得ることができます。今、あなたは「大学に通い卒業すること」が自分のすべてである、と漠然と思っているのではないでしょうか。しかし、将来の自分のキャリアのために「大学を利用する」という発想をもつことは重要です。

たとえば専門とは異なる進路に興味をもったとしたら、その資格試験の勉強をするために図書館を利用する、それに関連する授業を履修する、といったマインドセットをもてば「とにかく大学の授業を履修して卒業しないといけない」といった漠然とした脅迫観念を和らげることができます。 大学と自分との関係を具体化して解像度を上げることをおすすめします。

まとめ

大学を辞めたいと考えるのは、必ずしも悪いことではありませんが、その決断をする前に、さまざまな選択肢を考慮することが重要です。自分自身の感情をしっかりと把握し、利用可能なリソースやサポートを活用して、最善の選択をするための助けを求めましょう。

この記事が、不安や悩みを抱える新入生にとっての一助となれば幸いです。大学生活は、学びだけでなく自己発見の場でもあることを忘れずに、多くの選択肢の中から自分にとって最適な道を見つけ出してください。

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