(高校生・大学生必見)不確実性の高いVUCA時代に「自律型キャリア」を身につける

大学を辞めたいと思ったとき

目次

はじめに

今日の労働市場はかつてない速さで変化しており、将来に対する不確実性が高まっています。そのような流動的で変化に富む、不確実の高い社会状況は、VUCAと形容されるようになりました。

VUCAとは?

VUCAは、「Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)」の頭文字から成る用語で、激しい変化、予測不能、複雑さ、そして曖昧さを指す表現として用いられています。

この言葉は1980年代にアメリカの軍事用語として始まり、国際情勢の不確かさを説明するために使われました。現在では、経済分野を含む様々な分野で広く使用されています。例えば、2020年の経済産業省が発行した『ものづくり白書』では、グローバルなインターネットの連携により起こる即時的な変化を「VUCA」と表現し、この不確かな時代の特徴として述べています。

VUCAを先駆して論じた本:ジョン・ケネス・ガルブレイス『不確実性の時代』

『不確実性の時代』は、ジョン・ケネス・ガルブレイスという経済学者によって書かれました。この本は1977年に出版され、現代社会の経済問題に対する深い洞察を提供しています。ガルブレイスは、技術的、経済的変化がもたらす不確実性を中心に議論し、それが社会にどのように影響を与えるかを探求しています。

ガルブレイスは、技術の進歩が予測不能な結果を生み出す一方で、それが経済システムにどのように統合されるかについての不確実性が増大していると指摘します。彼は、企業や政府がこのような変化に対応するためには、柔軟性と適応性が求められると論じています。

また、経済政策における不確実性の問題にも焦点を当て、政策立案者が直面する予測の難しさと、その予測に基づく政策のリスクを分析しています。ガルブレイスは、経済の未来を予測することの困難さと、その困難さが政策決定に与える影響を強調しています。

本書は、経済学の理論だけでなく、政治、社会、文化の側面からも不確実性を考察しており、多面的なアプローチで現代の経済問題を解析しています。ガルブレイスのこの作品は、経済学者、政策立案者、一般読者に対して、不確実な時代を理解し、それに適応するための洞察を提供することを目的としています。

VUCA時代の自律型キャリアとは…

特に中学生から大学生の間には、将来のキャリアをどのように築いていくかという問題が大きな関心事となっています。

自律型キャリアとは、個人が自らのキャリアを自主的に設計し、管理していくスタイルを指します。これは、従来の雇用形態に縛られず、自分自身のスキルや興味に基づいて職業を選び、キャリアを進めていくという考え方です。技術の進化と共に、フリーランスや起業家精神を持つ人々が増えており、多様な働き方が可能になっています。

なぜ自律型キャリアが重要なのか?

  1. 技術の進化: デジタル技術の進化により、リモートワークやオンラインでのフリーランス業務が増加しています。これにより、場所を選ばずに仕事をすることが可能になり、自分のペースでキャリアを築くことができるようになりました。これまでのように企業に雇用されて働く、という働き方以外にも自営業-フリーランスとして働く道が多くの人に開かれ始めていると言えます。
  2. 経済のグローバリゼーション: 世界中の市場がつながり、さまざまな文化や業界で働く機会が拡大しています。これにより、国際的な視野を持つ自律型キャリアが求められるようになっています。日本を超えた商品-サービスを販売することも、個人レベルで可能になってきているため、小規模のビジネス機会が急増しています。
  3. 個人の価値観の多様化: 若者たちは自分の価値観に合った仕事を求めています。これまでは、企業-就職のために自分自身を合わせていく就職活動が主流でした。しかし、年功序列賃金で生産性の低い日本企業の価値はどんどんと目減りしていっています。 自律型キャリアは、個人の興味や価値観に基づいてキャリアを形成していく、これからの働き方の新しい理念的意味を担っています。
  4. 雇用リスクの増加:「上司・配属ガチャ」といった言葉が日本で流行していますが、就職した企業の質が悪かった場合に急な退職-転職を考える若者が増えました。一方で失業したときにまったく収入が無くなることは、大きなリスクとなります。企業に合わせていく就職活動を余儀なくされていまうのではなく、自分自身に明確な専門スキルと実績をポートフォリオ化していく自律した姿勢が求められています。

自律型キャリアの具体例は?

自律型キャリアの具体例としては、「ギグワーク」が近年、特に注目されています。ギグワークは短期間の契約やフリーランスの仕事を指し、柔軟な労働スタイルを可能にします。この働き方は、自らの時間を自由に管理し、様々な業界で多様なスキルを活用できるため、特に働き方の多様性を求める現代人にとって魅力的です。また、プロジェクトごとに異なる仕事を経験できるため、新しいスキルの習得やキャリアの拡張にもつながります。個人の能力を最大限に発揮しつつ、生活の質を向上させる選択肢として注目されています。

自律型キャリアを築くためには?

次のようなステップが。

  1. スキルの習得: まず、デジタル技術、プログラミング、デザイン、ライティングなど、市場で需要のあるスキルを学ぶことが重要です。
  2. ネットワーキング: 同じ興味を持つ人々とのネットワークを築くことで、新しい機会を見つけやすくなります。
  3. ブランディング: 自分自身のブランド-ポートフォリオを確立し、SNSやブログを活用して自分のスキルや作品を広めることが有効です。

まとめ

自律型キャリアは、特にこれから就職活動を迎える高校-大学生にとって重要な意味をもってくるでしょう。

これからますます雇用の流動化が進む現代において、企業就職にだけ依存するのではなくフリーランスとしてのキャリアをもち収入源を多様化させることは重要な人生設計の選択肢となります。

個々のスキルや情熱を活かして、自分自身の道を切り拓くことができる機会を提供します。将来にわたって競争力を保つためにも、「自分がもしフリーランスとして起業したとしたら」「ギグワークをするとしたら」といった想定で、学生時代から自分自身のキャリアを主体的に設計し、管理していく自律を意識することが重要となっています。

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