新型コロナウイルス流行に見る人間の愚かさ

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新型コロナウイルス(SARS-coV-2)が引き起こす疾患をWHOがCOVID-19と名付けてから数日が経とうとしている。中華人民共和国湖北省武漢市から始まったこの感染は、もはや日本でも感染が始まり、世界中の感染の封じ込めは不可能になってしまったといっても過言ではない。

しかし、それ以上に今の世の中には恐ろしいものがある。それは情報だ。SARSやMARSが爆発的な感染をしていた時代と圧倒的に違うのは、情報量である。かつては、それほどまでに情報が発達しておらず、その限りある情報でさえも、ほとんどが一方通行のメディアと呼ばれる情報源であり、その情報を民衆が媒介するにしても、流布される時空的な広さはそれらを媒介する人間の能力に任されていた。しかし、現在、ツイッターなどで双方間での情報のやり取りが可能になってしまった状態では、もはや情報が双方向に流れるようになってしまった。

かつて一方通行であった時代でさえも、新聞社はフェイクニュースといわれるでっち上げ(事実無根)の情報を流していた事実がある。それは例えば、大本営発表などに見られる。

ただでさえそう言った状態にあるにもかかわらず、人間が双方向に情報を共有できるようになってしまったということは、数多の情報に正しいものである一方、それと同じかそれ以上の情報が間違っているものであるということである。

さて、ここで人間の愚かさが露見してくる。

青い鳥

一番見られるのは「あおり」である。そもそも、WHOも発表している通り、このウイルスは感染力がSARSもしくはそれ以上のものを持っているとは言え、それ以上人間の命に係わる、つまり致死率はたいして高くはない。せいぜい2パーセントといったところである。しかしながら、報道などが切り取るのは「感染力がSARSかそれ以上」といった一部分であり、それ以上に重要であることを見落としているのである。

ここで注意しなければいけないのは、情報の真相部分である。確かに、どの情報も間違ったことは言っていないかもしれないが、それをどこが発表したのか、何を根拠にそれを言っているのかということに関してはそれ以上に重要なのである。

それを見ずにやれ「みんな感染している」だの「マスクでどうにかなる」だのを言っているのは、ただ情報をかじっているにしかすぎないのだ。

また、情報を発信している人間のほとんどは「ビッグマウス」であることに注意しなければならない。そう言ったものの中には、当然ながら、矛盾した情報を発信する人間もいるのだ。

根拠としては不確かかつ、ふさわしくないが、ここではヤフーコメントで実際にあった例を挙げる。

例えば、中国からやってきた旅行者の感染が明らかになったニュースがあるとする。そこには「中国からの入国を禁止しろ」という人間がいる。しかし、火を見るよりも明らかであるが、もはやブロック経済などをやっていた時代は党の昔であり、今現在の世の中では、その国全体での利益の確保はもはや、外国との交流によってその水準が保たれているといっても過言ではない。

当然、ここで大きな根拠もなく(そもそもWHOや中国が『入国規制をして風評被害を出さないように』などと言っている)中国からの入国を拒否することは、回りまわって世界経済ひいては日本経済の動きさえも停滞させてしまうという結果を招く。それなら内需でどうにかすればいいじゃないか。インバウンドに頼らなくてもいいようにしよう。という意見があるかもしれないが、世の中の評価は違った。

例えば、その後、インバウンド事業で成り立っていた会社が今回の感染の影響を受け、希望退職者を募ったというニュースが流れた。しかし、その時の一番評価を受けていたコメントは「インバウンドによって成り立っていたこの会社は、存続する価値がない」というものである。

先のコメントと合わせて、一番評価されているコメント二つが互いに反しているものだということがお分かりいただけただろうか。

We will make China great again

あれほどまでに、中国を拒否し、それで損失を被ってもどうにかなるだろう、などと言っていた人間は、いざそういう事態に陥った際には、自ら率先してその被った企業を切り捨てるのである。

よほど矛盾したものが好きなのか、よくわからないが、いずれにせよ、どちらにも数万もの賛同の意見があることに、私たちはおびえなければいけない。そして、その愚かなる人間に私たちは踊らされてはならないのである。

私たちは今、重要な岐路に立たされている。

 

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