NPO法人Wisaでは、リテラシー教育のプログラムの一環として、学生がライターとなってエッセーを公開しています。
今回は、高校生ライターのさなだまるさんがのエッセーを紹介します。
1.優先席…本当に必要でしょうか
この記事では、公共交通機関にある優先座席が必要かどうか、ということについて私の個人的な意見を書かせていただきます。
優先席とは、ご存知の通りお年寄りや障がいのある方、妊娠をされている方などに対して、優先的に譲られるべき表示がされている座席です。電車やバスなどの公共交通機関で日常的に目にしています。
世の中には当たり前となって、この優先座席は、やはり多くの人が「優先席が必要だ」と思っているから普及したものだと思います。「お年寄りや障がいのある方に座席を譲るべきだ」とほとんどの人が思っていると思います。しかし、私は「電車の優先席、必要ではないのでは?」と考えます。
2.「優先」であり「専用」ではない
優先席は「優先」される席であり「専用」ではありません。つまり、心がけて不自由な方々に席を譲りましょう、という私たちの意識によって譲られる席ということです。もし「専用席」にしてしまうと、逆にそういった方々を区別・区分し過ぎになりますよね。行き過ぎてしまえば、差別とも言われかねません。この席は、「優先」しようという市民の意識・啓発を行っているのであって、もし私たちにその意識がしっかりとあればすべての席が優先席になってもいいともいえます。優先席ではなくても、席を譲れれるようになることが理想です。
例えば、朝夕のラッシュの際の満員電車を想像してみてください。一般の乗客は新聞を読むどころか、スマホさえ触れないほどの混雑になります。そういったときに、一般の乗客も優先座席に座ることになります。別に専用席ではありませんし、優先席だからと言って座れるところにも座らず混雑を増すわけにはいかなくなります。
では、逆に昼間の地方を走る鉄道を想像してみてください。乗客はまばら、優先席も満席ではないし、当然それ以外の一般の座席にも空席が目立ちます。そういった中で、わざわざ乗客は自分たちが座る場所を「ここだ」として決めて座っているわけではないと思います。
では、一番困るのはどのようなときか。それは、ほどよい混雑をしたときになります。座席がほとんど埋まり、そこにたまたま、体の不自由な方が乗ってきたと想像してみてください。きっと、一般の座席に座っている人は「優先席に行けば、席を譲ってもらえるだろう」と思うでしょう。暗黙の了解で多くの人たちは「優先席で無ければ席を譲る必要もない」と考えてしまいがちです。
結局「誰かが席を譲るだろう」という考えて、スマフォを見てお年寄りが来ても気づかないフリをしたりする人が増えてしまいます。「自分のできることはした」という考えが人々の心の中には出てくるわけです。何も座りたい人は「優先席だ」と思って座るわけではありません。
一番重要なのは「席を譲ること」、という社会の助け合いの意識がしっかりと啓発されていることだと思います。「優先席に座らないこと・座ること」ではないのです。
優先席によって人が席を譲らなくなったり、譲らないと不満をもったりする。そんな世の中になるのであれば、私は優先席など必要ないと思ってしまうのです。皆が席を譲り合えばいいだけのことなのですから。