ゆだねることも大事です
自助グループで学んだことの一つに、
ゆだねる
というのがあります。
私たちは、何かしらの責任を負っているのが常ですが、
ときに、なんでもかんでも自分がどうにかしないといけないような気持になって、
あれやこれやと何事にも関わり、
なんやかやと口を差し挟み
あーでもないこーでもないと頭を悩まし、
挙げ句、思う通りにならない人、物事に、怒ったりします。
さて、
そんなことが当たり前になっている私たちに対して、
自助グループは、
本当に、その事は、
あなたが取り組まねばならないこと?
あなたが意見を言わねばならないこと?
あなたが悩まねばならないこと?
との問いを投げかけます。
そして、
あなたが解決できそうなことなの?
あなたの思う通りになることなの?
あなたが支配できることなの?
との確認をとります。
この問いと謙虚に向きあうと、
ほとんどの答えは、今自分が思っているほどではないという答えに行き着きます。
そして、私が今やっていること以外の選択肢があることにも思いが行きます。
それは、例えば、こんな風なかもしれません。
そこまで熱心に取り組まなくてもいい程の大きさの問題だ。
基本、他人事なので、見守る程度でいい。
私の日常のほとんどをその事で占めなくていい。
私には、そのことよりも優先すべき私のことがある。
何より、私が期待するほどには、それらのことを支配し、管理し、制御できる能力は私にはない。
私の手に負えないことは山とある。
それは事実。
そして、それで私の価値は下がらない。
それもまた事実。
私の手に負えないことは、もっと大きな力にお任せしよう。
何者かに任せても、私の価値は下がらない。
それは、私が無能ということではない。むしろ賢明だ。
できることに取り組み、できないことは喜んでゆだねよう。
誰かに、時間に、良識に。
ゆだねる。ことを覚えると、
私は自由になり、
より自分ができることに気兼ねなく力を注げるようになりました。
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このコラムは「聞風坊のブログ」(2013年12月18日)から、先生に承諾の下、転載させていただいております。
【筆者紹介】聞風坊(もんぷうぼう)
30代をひきこもって過ごしたひきこもり経験者。自助(セルフヘルプ)活動を通じて社会参加へ。その後、ひきこもりの自助組織形成論を主眼にひきこもり当事者研究の第一人者に。2012年、第8回社会的ひきこもり支援者全国実践交流会in宮崎にて当事者会をコーディネート。著書『こもって、よし!―ひきこもる僕、自立する私』では、心理学理論「交流分析」を土台とした独自の当事者主義に立脚した考えを提示している。
【著書】
『こもって、よし! ひきこもる僕、自立する私』(鉱脈社)、『「親」を育てる「ひきこもり」』(私家版)